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病気・ケガ

富士山でよく考えられる病気といえば、何といっても高山病でしょう。病気というより症状ですが、登山中にかかってしまったら下山するより治す方法はないと思うべきです。
高山病は誰でもかかる症状ではなく、なにも感じない人、重症になる人、多少の不快感を訴える人など様々ですが、ツアーでの登頂率を考えると5%程度の登山者が高山病によりリタイアします。
また約20%程度の登山者が多少の頭痛や吐き気を感じながら、我慢しながら登頂していることがわかっています。
高山病にかかってしまわないように、登山前日はしっかりと睡眠を取り、登山中は水分補給と栄養補給、深い呼吸を心掛けてゆっくりと歩くことです。

< 高山病 >

富士山特有の山の病気といってもいいでしょう。高度が上がると酸素量が減少し、体が慢性的な酸欠状態になり頭痛、吐き気、めまい、手足のしびれ等の症状が現れます。

一番の要因は登山前日の睡眠不足、風邪気味、体調不良等があげられますが、もともと高山の環境に適していない体質の方もいらっしゃいます。
高山病にかかってしまった時の対処方法としては、登山中の水分補給、深呼吸をしながら歩くことですが、改善しないようであれば酸素量が多く気圧の高い場所まで下山しなければなりません。登れば登るほど悪化し、他の良くない症状を誘発する恐れがあるので山頂制覇はいったん諦めて速やかに下山します。
「頭が割れるように痛い」、「吐く」、「腕が上がらない」などの症状は危険な状態になっているため、登頂は考えずに下山してください。

なお高山病が不安な方は保険として携帯酸素を携行しましょう。

< 熱中症 >

熱中症の症状は、だんだん体がだるくなり意識がもうろうとなって動けなくなります。手遅れになると命を落とす危険があり、富士山ではよく見られる症状です。
一番発症しやすいのが、ご来光を見て下山するときなのですが、太陽が出ると早朝にもかかわらず強烈な日差しに襲われ、しかしまだ防寒のための厚着のままで下山しているので、体内の熱を放出できず体温がどんどん上昇して、体の自由が利かなくなってしまいます。
熱中症にかかりやすい登山者は上記の他に、水分をあまり摂ってない場合がほとんどです。多くの富士山の登山者がトイレをあまり利用しないようにするために、水分を摂らないようにしている事実があります。
富士登山は過酷なスポーツで大量の汗をかきます。水分補給がされないと脱水症状が起こり、汗をかくことができなくなり、上昇した体温を下げることができず、熱中症を引き起こすのです。

熱中症の予防には「適切な服装」、そして何よりも「水分補給」です。のどが渇く前に水分補給をしましょう。
水分補給としてお薦めのドリンクはスポーツ系飲料で、汗で失われた塩分・ミネラル・糖分など身体に吸収されやすい成分が配合されて、疲労回復を助ける働きもします。

< 低体温症 >

人間の身体は寒さを感じても正常な体温に戻す力を持っていますが、長時間寒さにさらされたり、雨に濡れて冷たくなった衣服を着続けていると次第に体温を奪われ、自力で体温を維持できなくなる症状で、震えが止まらなくなり、意識障害を起こし、最悪死に至ります。
富士登山は主に7月、8月の夏期に行われるものですが、御存知の通り富士山は夏でも山頂では雪が降るなど真冬の環境になったりします。そういう時に「適切な服装」で登山をしていないと低体温症を引き起こしてしまうことがあります。
「適切な服装をしていない」とは高山病のところでも書きましたが、低体温症でいうとすれば、ジャケットなどの防寒服を着ていない、雨や雪で濡れた衣服を着たままでいる、ことを言います。

通常の雨では、旅行会社が主催する富士登山は問題なく催行されますが、ゴアテックスなどの防水加工をされたレインコートを携行することが条件です。たとえ天気予報で晴天であっても、必ず防水加工が施されたレインコートを必ず携行してください。これは富士登山においての絶対条件です。
このような防水加工がされたレインコートは、雨や雪、冷たい風が吹いてもあなたを守ります。そしてそれはそのような環境にさらされても、快適な登山を約束してくれるものなのです。レンタルもあるので積極的に利用します。

体温を保つにはエネルギーが必要なので、休憩の際や行動中などには飴やゼリー飲料、行動食など糖分が含まれたものを摂取しましょう。

< ケガ >

ケガについては転倒して捻挫した、擦りむいたなどが一般的なよくあるケガで、下山にさほど支障のない場合が多いですが、歩けなくなるほどのケガをした場合は救助を呼びます。近くにガイドがいれば助けを乞い、山小屋があれば力を貸してくれます。
骨折などをしてしまい歩けなくなった場合は、山小屋へ荷物を運ぶ運搬用のブルドーザーで五合目まで運ばれ、五合目で待機する救急車で病院へ運ばれます。
それよりも緊急の場合は、ヘリコプターで運ばれることもありますが、悪天候や雲が厚い場合は、ヘリコプターの離着陸ができず、ブルドーザーでの搬送になります。

< 既往症がある方 >

驚いてしまう話ですが、「心臓の手術をした」、「ひざの手術をした」という方が、しかも結構な人数の方々が富士登山をされている事実があります。そういう方に「どうしてそういう身体で富士山に登るのか?」を聞いてみると、「日本一の富士山を登れたらもう安心だ!」ということでした。

「お願いします。富士登山を自らの健康のバロメーターにしないでください。」

万が一、重大な事故が起こってしまったらたくさんの関係者に迷惑を掛けるだけでなく、最悪富士山よりも高い所へ逝ってしまうこともあります。
無謀な挑戦などはせず、せっかくお医者さんに治してもらった身体をご自愛ください。

心筋梗塞や脳卒中などの既往症がある方も富士登山はご遠慮ください。酸素濃度が平地より4分の3しかない富士山は危険極まりありません。