富士山には登山道が5ルートありますが、このホームページで紹介しているのは主に静岡県側の3ルートです。
山頂までの所要時間はルートにより大幅に変わりますが、五合目~七合目まで約3時間、七合目~八合目まで約2時間、八合目~頂上まで約2時間、お鉢巡り2時間、頂上~五合目まで約4時間を参考にしてください。
詳しいルートについては、「ルートについて」を参照ください。
日常の散歩程度のゆっくりとしたペースよりもゆっくり登ります。「さすがにこのペースは遅いのでは?」というペースが最適です。お年寄りが杖をついて歩くペースを想像してください。
高度が上がるにつれて、酸素もさらに薄くなり、徐々にきつくなるため決して最初から大股にならず、小股歩行を実行して下さい。最初から最後まで一定のゆっくりとしたペースを守ります。
富士山ガイドを先頭にして歩いているバスツアーの登山客のペースも参考にしましょう。
「20分歩行10分休憩」を繰り返しますが、あくまでも目安です。20分の歩行がきつければ、15分でも構いません。10分の休憩も天気が悪く寒い時は長過ぎます。いずれにせよ、素晴らしい景色を見つけたら立ち止まり、「疲れたら休む」でよいでしょう。休憩中はこまめに水分補給、栄養補給をするするように心がけて下さい。
理想的な休憩は長時間座らないことです。出発数分前には立って出発の準備をするといいでしょう。座っているところからいきなり歩き出すと、とても体が重く感じます。
高度が上がるほど徐々に酸素量が減少していきます。富士山頂は平地の約3/4の酸素量であるため、スタート時から山の空気や気圧に慣れるように「ラジオ体操の深呼吸」のペースを思い出して、歩きながらも腹式呼吸を実践しましょう。
呼吸法を実践してもどうしても楽にならない場合は、携帯酸素を休憩の際に使用しても構いません。
富士山は登り始めから頂上までずっと歩いてるわけではなく、「これぞ山登り!」みたいな岩を手でつかんで登る箇所がいくつかあります。
岩場では足を上げる岩の高さがバラバラなので、ペースを崩しやすくなります。また転倒すると危険なので、慎重に登る必要があります。砂礫を歩いていたペースよりもさらにゆっくりと、岩の形状や足をどこに置いて体重移動をしたらよいか判別しながら登りましょう。
そして、岩をつかみながら登る必要もあるので、手袋の装着も必要です。
ストックや杖を持っている方は、ストックの真ん中を持って短く使用するか、もしくはしまって登ります。杖(金剛杖)を持ってる方は伸縮できないので、やはり杖の真ん中を持ち、後ろを登る登山者を突き刺さないように絶対に杖を水平にしないことが大切です。
また、前を登る登山者と間隔を開けて登ります。岩場なので下を向きながら登りがちになりますが、しっかりと前方も見て距離を開けましょう。
下を向いて岩場を登っていると、前の登山者のザック(リュック)に頭をぶつけて、その反動で岩を転げ落ちる、ということも度々起こっています。十分な距離を置きましょう。後ろから登る登山者が近過ぎる場合は注意してあげましょう。
富士山の下山での醍醐味は砂走(すなばしり)だと言っても過言ではないでしょう。富士山の溶岩が細かい砂礫となった砂の斜面を駆け降りるように下る「御殿場ルート」の「大砂走」というポイントです。このように富士山には多種多様な登下山道があり、その場に応じた歩き方が必要になります。
◎靴紐の締め方
まず、下山で覚えておくべきことは「靴紐の締め方」です。靴の中でつま先が靴の先端に当たっていると、段々痛くなって腫れてきます。つま先が靴の中で動かないように足首を靴紐でしっかりときつく結びます。
◎ザックを動かないように固定する
肩に掛けるザックの肩紐(ショルダーハーネス)が緩くないようにしっかり締めます。
腰紐(ウェストベルト)がついている場合もしっかり締めて、ザック全体をなるべく腰より上に固定します。
胸で固定する紐(チェストハーネス)がある場合はそれもしっかり締めると、下山時にザックがゆらゆら揺れず安定した歩行ができるようになります。
◎ストックや杖の使い方
ストックや杖を持っている方は、登山のときよりも多少長めに持ち、重心をストックに移動させて下ると滑り(転び)にくくなります。
特に岩場での下山は足を下ろす前にストックや杖で体重を支えてから下りるようにすると膝への負担も軽くなります。
◎膝が不安で膝のサポーターを持っている方は、下山の際に装着しましょう。
どの山でも共通ですが、砂礫が細かく滑りやすいポイント、岩場では小股で爪先から接地します。
しかし、砂礫が深く足が埋まってしまうような「砂走」のようなポイントでは、大股で踵(かかと)から接地すると楽に下山できます。
しかもこの歩き方はスピードに乗ることができ、ふくらはぎや大腿部の筋肉をあまり使わずに下りることができます。
富士山の下山は約4時間ほどの足の筋肉を鍛える筋トレだと思ってください。この深い砂礫でスピードに乗って距離を稼ぎ、楽に下りることで筋肉痛になることを軽減できます。
※砂走(すなばしり)とありますが、大股でスピードに乗って歩きます。走るのは危険なのでやめましょう。
約4時間の下山という行程(修行)は、自らの体重、ザックの重さ、そして地面からの衝撃をすべて足の筋肉や関節が受け止めるので、下山後一週間は筋肉痛に悩まされることでしょう。
筋肉痛を多少なりとも軽減させるにはストックや杖を使用し、足だけにかかる負荷を手にも分散させるといいでしょう。